
はじめに
2027年1月(予定)に、現在の「ケアプランデータ連携システム」は介護情報基盤の「介護WEBサービス」に統合される予定です。
2026年度の臨時介護報酬改定では、介護職員等処遇改善加算の特例要件の一つとしてケアプランデータ連携システムの利用が位置付けられ、多くの介護事業所で導入が進みました。そのケアプランデータ連携システムについて、厚生労働省は2027年1月(予定)に介護情報基盤の「介護WEBサービス」へ統合する方針を示しています。
本記事では、統合の概要やスケジュール、介護事業所が準備しておくべきポイントについて解説します。
●このコラムのポイント
- ケアプランデータ連携システムは2027年1月(予定)に介護情報基盤の「介護WEBサービス」へ統合され、今後はWEB上で利用できる仕組みへ移行します。
- 2026年7月から12月は移行準備期間となるため、現在利用中の事業所は介護WEBサービスへの登録など、早めの準備が必要です。
- ケアプランデータ連携システム・介護WEBサービスを未導入の事業所は、今後の業務効率化に向けて、それぞれの導入・登録準備を進めることが重要です。
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ケアプランデータ連携システムが介護情報基盤へ統合
ケアプランデータ連携システムとは?
厚生労働省は、現在運用されているケアプランデータ連携システムを、2027年1月を目途に介護情報基盤の「介護保険資格確認等WEBサービス(以下、介護WEBサービス)」へ移行する方針を示しました。
現在のケアプランデータ連携システムは、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所との間で毎月やり取りされる居宅サービス計画書(ケアプラン)やサービス利用票などの情報をインターネットを通じて電子的に共有する仕組みとして運用されています。
介護業界では長年にわたり、
- FAXによる送受信
- 郵送による書類共有
- 紙ベースの管理
- システムへの再入力
などが当たり前のように行われてきました。
しかし、介護人材不足が深刻化する中で、こうした事務作業に多くの時間を割き続けることは難しくなっています。その解決策として国が推進してきたのが介護DXであり、普及が進められてきたのがケアプランデータ連携システムです。
2026年度の介護報酬臨時改定の処遇改善加算への対応を契機に導入した事業所も多く、ケアプランデータ連携システムは一部の先進的な事業所だけが利用する仕組みではなくなりつつあります。実際、厚生労働省の資料では、2026年7月時点で有効ライセンス事業所割合が50%(※介護DBで集計した事業所数に対する有効ライセンス事業所割合(令和8年7月初旬時点)から算出)を突破したことが示されています。
今回の統合は、そうした普及状況を踏まえた次のステップといえるでしょう。
参考:ケアプランデータ連携システムの介護保険資格確認等 WEBサービスへの移行について|厚生労働省
そもそも介護情報基盤とは?
今回の統合を理解するうえで欠かせないのが「介護情報基盤」です。
介護情報基盤とは、介護保険制度に関するさまざまな情報を電子的に連携し、必要な関係者が適切に活用できるようにするための仕組みです。2026年度から順次運用が進められています。これまで介護現場では「必要な情報を取得するために複数のシステムへログインする」「自治体へ確認する」「紙で取り寄せる」といった非効率な運用が発生していました。
介護情報基盤は、こうした情報をデジタルでつなぎ、必要な情報をより円滑に活用できる環境を整備することを目的としています。具体的には利用者の介護保険被保険者証情報や要介護認定情報、主治医意見書などの介護情報を、医療機関や介護事業所間で共有・活用できます。
厚生労働省は、医療分野で進められている医療DXと同様に、介護分野においてもデータ連携を推進することで、現場の負担軽減とサービスの質向上を目指しています。
そして今回、これまで独立したシステムとして運用されていた「ケアプランデータ連携システム」が介護情報基盤の一機能として組み込まれることになります。(介護情報基盤の中の「介護WEBサービス」の一機能として、ケアプランデータ連携機能が提供されます)
介護情報基盤についてはこちらのコラムで詳しく解説しています
【2026年4月施行予定】介護情報基盤とは?概要から最新情報まで
なぜ統合されるのか
今回の統合は、単にシステムを置き換えることが目的ではなく、国が進める介護DXの本格化があります。
介護事業所の経営環境は年々厳しさを増していますが、特に大きな課題となっているのが人材不足です。介護人材の確保が難しくなる中で、現場職員が利用者対応以外の業務に追われる状況を改善しなければなりません。
そこで国は、
- ICT導入
- 介護ロボット活用
- データ連携
- 業務の標準化
などを推進しています。
2026年度の処遇改善加算においても、生産性向上の取り組みが重視されたことは記憶に新しいでしょう。ケアプランデータ連携システムも、その生産性向上施策の一つとして位置付けられていました。
しかし、将来的には単独のシステムとして運用するのではなく、介護情報基盤の中で運用した方が利用者情報や認定情報などとの連携がしやすくなります。
つまり今回の統合は、「ケアプランデータ連携システムの終了」ではなく、「介護情報基盤活用のスタート」と捉えるべきかもしれません。
統合によって何が変わるのか
今回のケアプランデータ連携システムの移行・統合によって具体的に何が変わるのか。厚生労働省が公表している資料では、利用者にとっての利便性向上が大きなポイントとして挙げられています。
◎クライアントソフトからWEBサービスへ
現在のケアプランデータ連携システムは、専用のクライアントソフトをインストールして利用する仕組みです。
一方、統合後は介護WEBサービス上で利用する形となります。これにより、ソフトウェア管理の負担軽減や運用の簡素化が期待されています。特に複数拠点を運営する法人や、複数の職員がケアプランデータ連携システムを利用する事業所では、管理負担の軽減効果は小さくないでしょう。
◎データの再ダウンロードが可能になる
現行システムでは、一度取得したデータの取り扱いに制約がありました。統合後はデータのダウンロードを何度でも行えるようになる予定です。業務上の確認作業や再取得がしやすくなることで、運用面の利便性向上が期待されます。
◎パスワード管理が簡素化される
介護現場では複数のシステムを利用しているケースが少なくありません。ログイン情報の管理負担は、現場職員にとって意外と大きな課題です。統合後はパスワード入力が簡素化される予定となっており、日常業務におけるストレス軽減にもつながるでしょう。
◎複数端末で利用しやすくなる
現在は利用環境に制約がありましたが、統合後は複数端末での利用が容易になると案内されています。ケアマネジャーだけでなく、管理者や事務担当者も活用しやすくなる可能性があります。
◎利用料が無料に
現在のケアプランデータ連携システムは、本来年額21,000円の利用料が必要です。ただしフリーパスキャンペーンの延長により2026年中は無料となっています。今回の統合後は、介護WEBサービスの機能として提供されるため、利用料負担は発生しない予定とされています。
参考:ケアプランデータ連携システムの介護保険資格確認等 WEBサービスへの移行について|厚生労働省
介護事業所が今から準備しておくべきこと
今回の移行に向けて、厚生労働省は2026年7月から12月までを「引っ越し準備期間」と位置付け、「介護情報WEBサービス」への利用登録を呼びかけています。
そのため、2026年中に対応状況を確認しておくことが重要です。
介護WEBサービスへの登録状況の確認
対応方法は事業所の状況によって異なります。
- 既に介護WEBサービス登録済み:追加登録は不要。統合後そのままケアプランデータ連携機能を利用可能。
- ケアプランデータ連携システムのみ利用中:介護WEBサービスへの利用登録が必要。
- どちらも未導入:ケアプランデータ連携システムの導入と介護WEBサービスへの登録の両方が必要。
厚生労働省は、「各自治体の介護情報基盤の利用開始時期にかかわらず対応が必要」と明記しています。そのため、自治体の動向を待つのではなく、事業所側で早めに準備を進めることが重要です。
助成制度も活用可能
国民健康保険中央会では、介護情報基盤の活用に向けた助成制度を2026年5月7日~2027年3月12日(金)(予定)まで設けています。
介護事業所向けには、以下の上限額で用意されています。
| サービス種別 | 助成上限額 |
|---|---|
| 訪問・通所・短期滞在系 | 最大6.4万円 |
| 居住・入所系 | 最大5.5万円 |
| その他 | 最大4.2万円 |
また、介護情報基盤への接続サポートだけでなく、ケアプランデータ連携システム導入支援を一体的に受ける場合も助成対象となります。介護情報基盤ポータル経由で申請を受け付けるため、詳細については「介護情報基盤ポータル」をご確認ください。
>>>介護情報基盤ポータル
よくある質問
Q. ケアプランデータ連携システムの統合はいつから始まりますか?
ケアプランデータ連携システムは、2027年1月に介護情報基盤の「介護WEBサービス」へ統合される予定です。
また、厚生労働省は2026年7月から12月までを移行準備期間(引っ越し準備期間)と位置付けています。そのため、事業所は2026年中に介護WEBサービスへの登録状況や必要な準備を確認しておくことが推奨されています。
Q. 現在利用しているケアプランデータ連携システムは使えなくなるのでしょうか?
現在のケアプランデータ連携システムは介護WEBサービスへ移行され、今後は「介護WEBサービス」上で利用する形になります。
現在、ケアプランデータ連携システムのみを利用している事業所は、電子請求受付システムのID・パスワードを使用して、介護情報基盤WEBサービスへの利用登録が必要です。
Q. 今からケアプランデータ連携システムを導入しても問題ありませんか?
問題ありません。
厚生労働省は、現在もケアプランデータ連携システムの利用促進を進めています。
今後は介護情報基盤WEBサービスへ移行される予定ですが、現在導入することで得られるデータ連携の運用経験や業務効率化の効果は、移行後も活用できます。
また、移行に向けた準備という観点でも、早めに導入・運用を始めるメリットがあります。なお、ケアプランデータ連携システム・介護情報基盤WEBサービスの両方を未導入の場合は、それぞれの導入・登録準備が必要になります。
Q. 市町村が介護情報基盤に対応していなくても準備は必要ですか?
必要です。厚生労働省は、市町村の介護情報基盤への対応状況にかかわらず、事業所側で準備を進めるよう案内しています。自治体の対応を待つのではなく、介護WEBサービスへの登録状況などを早めに確認しておくことが重要です。
Q. 利用料はどうなりますか?
現在のケアプランデータ連携システムは本来年額21,000円の利用料が必要ですが、フリーパスキャンペーンにより2026年度中は無料となっています。介護WEBサービスへ統合後は、ケアプランデータ連携機能の利用料は発生しない予定です。
さいごに
こうした流れを見ると、国が介護DXや生産性向上の取り組みを継続的に推進していく方向性は今後も続いていくと考えられます。実際に、今回のようにICTツールの活用が加算要件に盛り込まれるケースも出てきており、介護報酬改定に向けた議論においても、データ連携やICT活用は重要なテーマの一つになる可能性があります。
一方で、介護現場では人材確保や物価上昇への対応、利用者ニーズの多様化など、日々さまざまな課題への対応が求められています。その中で新たな制度やシステムへの対応負担を感じている事業者も少なくないでしょう。
だからこそ2027年1月の統合に向けて、まずは自事業所の登録状況や運用体制を確認し、早めに準備を進めておくことが重要です。
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