ホーム コラム 2027年創設予定「登録施設介護(予防)支援」とは?住宅型有料老人ホームの今後と影響も解説

2027年創設予定「登録施設介護(予防)支援」とは?住宅型有料老人ホームの今後と影響も解説

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はじめに

2026年4月に閣議決定された「社会福祉法等の一部を改正する法律案」にて、特に注目されているのが、住宅型有料老人ホームの登録制度の導入と「登録施設介護(予防)支援」という新たなサービス類型の創設です。

 

以前、本コラムでも取り上げた「有料老人ホームの登録制度」については、有料老人ホームのうち、中重度の要介護者など特に入居者保護の必要性が高い利用者を対象とするホームに対し、登録制を導入する方向で進められています。

 

その登録対象となる住宅型有料老人ホームの入居者向けに、“新たなケアマネジメント制度”「登録施設介護(予防)支援」という新たなサービス類型が創設される方向性が示されました。これは、囲い込み防止やケアマネジメントの中立性確保を目的としたものです。

 

制度の詳細は今後さらに検討されていく予定ですが、住宅型有料老人ホームの経営モデルそのものに影響を与える可能性があることから、介護事業者にとっては早い段階から情報整理と経営戦略の検討が重要です。本コラムでは、制度創設の背景や、現在どのような議論が行われているのか、また制度が新設された場合に想定される影響などについて整理していきます。

 

※2026年5月末時点の情報をもとに作成しています。制度内容は現在も審議段階であり、今後変更される可能性がありますのでご留意ください。

●このコラムのポイント

  • 2027年度に向けて、住宅型有料老人ホームの登録制導入と「登録施設介護(予防)支援」の創設が進められており、囲い込み防止やケアマネジメントの中立性確保が大きなテーマとなっています
  • 今後の介護施設運営は、サービス品質や医療連携、地域からの信頼など、「第三者から見た適切性」がより重要になっていく可能性があります
  • 人材不足や制度改正などによって介護業界の経営環境は厳しさを増しており、今回の制度改正をきっかけに、自社の経営戦略や将来的な方向性を改めて整理していくことが重要です

 

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なぜ「登録施設介護(予防)支援」が創設されるのか?囲い込み問題との関係

住宅型有料老人ホームの“実態”と制度のズレ

現在の有料老人ホームには、大きく分けて「介護付き有料老人ホーム」と「住宅型有料老人ホーム」の2種類があります。

介護付き有料老人ホームは、介護保険法上の「特定施設入居者生活介護」の指定を受け、施設自体が包括的に介護サービスを提供します。一方で住宅型有料老人ホームは、制度上はあくまで「住まい」という扱いです。そのため、介護サービスは訪問介護や訪問看護、居宅介護支援などを外部から利用する仕組みになっています。

一方、多くの住宅型有料老人ホームでは、同グループのケアマネジャーがケアプランを作成し、同グループの訪問介護や訪問看護を中心にサービス提供を行う運営体制が構築されています。特に近年は、医療依存度の高い高齢者の受け皿としての住宅型有料老人ホームが急増しており、訪問介護や訪問看護を高頻度で実施しながら、24時間体制に近い運営を行うケースも珍しくありません。

もちろん現場としては、利用者の状態変化に迅速に対応するためにも、法人内での連携を強化することは合理的です。また、人材不足が続く中では、サービスを分散させるよりも、一定程度集約したほうが効率的な運営につながるという実態もあります。

しかし「住宅型有料老人ホーム」と「介護付き有料老人ホーム」は、現場で果たしている役割や機能が近づいている一方で、制度上の位置付けには大きな違いがあります。この点について、国としては「制度上は“住まい”でも、実態として施設に近い運営が行われているのであれば、それに合わせた制度整理が必要ではないか」という方向で見直しを進めているのです。

国が問題視している「囲い込み」の課題

今回の制度見直しで、特に大きなテーマとなっているのが「囲い込み」です。囲い込みとは、同一法人内でケアマネジメントから介護サービスまでを完結させることで、利用者のサービス選択肢が限定される状態を指します。厚生労働省の資料でも、「併設・隣接する介護サービス事業所等の利用への限定・誘導などにより、入居者の主体的な介護サービスの選択が制約され、過剰な介護サービスが提供される事例」が課題として挙げられています。

実際、住宅型有料老人ホームにおける「囲い込み」の問題は、今回初めて議論されているわけではありません。これまでも国は、同一建物減算の導入や区分支給限度基準額の見直し、ケアプラン点検の強化などを通じて、過剰サービスや囲い込みへの対応を段階的に進めてきました。

特に近年は、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅において、同一法人内で介護サービス利用が集中するケースが増加していたことから、厚生労働省でも実態把握や議論が継続的に行われています。

その中で今回の制度改正では、これまでの「報酬面での調整」だけではなく、住宅型有料老人ホーム自体に登録制を導入し、さらに「登録施設介護支援」という新たな相談支援類型を創設することで、制度そのものを見直そうとしている点が大きな特徴です。もちろん、囲い込み自体が直ちに違法というわけではありません。実際の現場では、法人内で連携することで迅速な対応や情報共有につながっている側面もあります。

しかし国としては、「本当にそのサービス量が必要なのか」「ケアマネジメントの中立性は保たれているのか」といった点を懸念しています。そのため今回の見直しでは、登録制の対象となる住宅型有料老人ホームに対し、相談支援や介護サービス事業者との独立性確保を求める方向性が示されているということです。

参考:【概要】社会福祉法等の一部を改正する法律案|厚生労働省

「登録施設介護(予防)支援」はどのような制度になるのか

新たな「相談支援類型」として創設

今回創設が検討されている「登録施設介護(予防)支援」は、登録制の対象となる住宅型有料老人ホーム入居者向けの、新たな相談支援類型です。すべての住宅型有料老人ホームに導入されるのではなく、「登録制対象ホーム」向けの仕組みとなる見通しです。

現在の住宅型有料老人ホームでは、「居宅介護支援」によってケアプラン作成が行われています。しかし今後は、登録制の対象となる住宅型有料老人ホームでは、居宅介護支援とは別枠の相談支援制度として「登録施設介護(予防)支援」が導入される可能性があるということです。

厚生労働省の資料では、「登録施設介護(予防)支援」は、ケアプラン作成だけでなく、地域生活相談や地域活動への参加支援なども含めた包括的な支援として整理されています。特徴的なのは、「地域生活相談」が含まれている点でしょう。

また、単純なサービス調整だけでなく、

  • 地域交流
  • 本人の意思に基づく社会参加
  • 自立支援
  • 重度化防止

なども含めた支援が想定されています。

創設時期については、改正案において「公布後2年以内に政令で定める日」とされており、現時点では具体的な施行日は未定です。ただし、現在は2027年度の介護保険制度改正に合わせた導入が想定されています。

なぜ居宅介護支援とは別制度になるのか

現在の住宅型有料老人ホームは、「在宅サービス」として居宅介護支援を利用していますが、今回の改正では、

  • 登録制の対象となる住宅型有料老人ホーム
  • 登録施設介護支援事業者
  • 介護サービス事業者

の3者がそれぞれ独立性・透明性を担保しながら連携する形が示されています。

また、厚生労働省の資料内では、「ホームと対等な立場で情報共有し、相談支援を実施」することも示されています。これは、ケアマネジメントの中立性確保を強く意識した制度設計と考えられます。

参考:【概要】社会福祉法等の一部を改正する法律案|厚生労働省

利用者負担や独立性確保も議論されている

今回の制度改正では、

  • 入居時に特定の介護サービス事業者の利用を条件にしないこと
  • ケアマネジメントの独立性方針の策定・公表

なども検討されています。また、「登録施設介護(予防)支援」については、介護付き有料老人ホームと同様に「原則1割負担」とする方向も示されています。現在の居宅介護支援は自己負担がありませんので、この変更は利用者側だけでなく、事業者側の収益構造にも大きな影響を与える可能性があります。

そのため利用者・ご家族への説明対応も重要になってきます。これまで無料だったケアマネジメントに自己負担が発生する可能性があるため、「何が変わるのか」を丁寧に説明する必要があります。

また、独立性確保が求められることで、入居契約書や重要事項説明書、サービス利用説明書などの内容見直しが必要になる可能性もあります。これまで一般的だった、同一法人サービスを前提とした案内方法についても、今後はより慎重な対応が求められていくかもしれません。そのため、制度開始後に慌てて対応するのではなく、今の段階から自社の運営体制や利用者説明の流れを整理しておくことをおすすめします。

「登録施設介護(予防)支援」によって住宅型有料老人ホーム経営はどう変わるのか

制度改正によって収益構造が変わる可能性も

住宅型有料老人ホームの登録制度導入や登録施設介護(予防)支援の新設によって、最も懸念されているのは、住宅型有料老人ホームの運営自由度が低下する可能性です。

現在の住宅型有料老人ホームでは、同一法人内で訪問介護・訪問看護・居宅介護支援を組み合わせることで、効率的な運営モデルを構築しているケースも少なくありません。しかし今回の制度改正では、囲い込み防止やケアマネジメントの中立性確保が大きなテーマとなっています。そのため今後は、これまでのようなサービス提供体制の見直しを求められる可能性があります。

特に、

  • 居宅介護支援や訪問サービスなど複数事業を展開している法人
  • 医療依存度の高い利用者を多く受け入れているホーム
  • 訪問介護を高頻度に実施している事業者

などは、制度変更の影響を受ける可能性があります。

もちろん、住宅型有料老人ホーム自体の必要性がなくなるわけではありませんし、多様な介護ニーズの受け皿は今後さらに必要とされています。しかし今後は、「どのような運営体制なら継続性を確保できるのか」を改めて考える必要が出てくるでしょう。

第三者から見ても「適切な運営」が求められる

今回の制度改正では、単に「囲い込みをしてはいけない」という話だけではなく、“第三者から見ても適切な運営ができているか”が、これまで以上に重要になっていくと考えられます。

「自社として適切に運営している」というだけではなく、「行政や第三者から見ても、適切なケアマネジメントやサービス提供が行われていると説明できるか」という視点がより重要になっていくでしょう。

特に今後は、

  • なぜそのサービスが必要なのか
  • なぜそのサービス量なのか
  • なぜその事業者を選定したのか

といった点について、記録や根拠をより明確に残していく必要性が高まる可能性があります。また、利用者への説明内容や同意取得の流れ、ケアマネジメントの独立性に関する方針などについても、より透明性が求められていくことが想定されます。今回の制度改正は、単なる新サービス創設ではなく、「住宅型有料老人ホームの運営の見られ方」が変わっていく転換点になると考えられます。

売却・買収を含めた経営判断も必要な時代へ

これまで住宅型有料老人ホームでは、同一法人内で訪問介護・訪問看護・居宅介護支援などを組み合わせることで、一定の収益性や運営効率を確保してきた事業者も少なくありません。しかし、囲い込み防止や独立性確保がより重視される場合、従来のような運営だけでは難しくなる可能性があります。つまりこれからは、「法人内で完結できるか」だけではなく、「利用者・家族・地域から選ばれるか」という視点で経営を考えていく必要があるということです。

そのため、法人内連携によるスピード感や効率性だけでなく、サービス品質や医療連携、看取り対応、リハビリ体制、人材定着率、地域からの信頼など、“外から見た評価”もこれまで以上に重要になっていくと考えられます。

特に、小規模法人や単独運営の事業者にとっては、制度対応・人材確保・運営体制整備の負担がさらに大きくなることも想定されます。今後は、「単独で運営を続けるのか」「地域連携を強化するのか」「大手法人と連携するのか」といった、経営のあり方そのものについても、改めて見直していく必要が出てくるでしょう。

介護業界では、人材不足や物価高騰、介護報酬改定をはじめとする制度改正への対応など、経営環境がますます厳しくなっています。今のうちから自社の立ち位置や将来戦略を整理しておくことをおすすめいたします。

さいごに

本コラムでは、住宅型有料老人ホームの登録制の対象となるホーム向けに、「登録施設介護支援」が創設される方向性について解説しました。

今回の制度改正は、単なるルール変更ではなく、「これからどのような施設運営を目指していくのか」を改めて考えるきっかけになるかと思われます。

経営環境が大きく変化している今だからこそ、自社の強みや地域での役割、将来的な事業展開まで含め将来を見据えた選択肢を早めに整理してみてはいかがでしょうか。

当社CBヘルスケアでは、医療・介護・福祉業界に特化したM&A支援会社として、1,550件以上の事業承継・M&A支援実績(2026年3月末時点)を有しております。業界特化だからこそ、制度改正や介護経営の変化を踏まえたご提案が可能です。企業価値診断から事業承継、売却相談、買収戦略のご相談まで無料で承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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コラム監修者

大倉 良介
大倉 良介
株式会社CBヘルスケア 東日本事業部 副部長

大学卒業後、商社で購買物流や事業開発、M&A業務に携わり、宿泊事業のコンサルを経て株式会社CBパートナーズ(現:株式会社CBヘルスケア)に入社。地域密着型デイサービス、訪問介護、居宅介護支援事業所、就労移行支援事業所などの介護分野から、社会福祉法人までをご支援。株式譲渡・事業譲渡・持分譲渡など多様なM&Aを手がける。

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