ホーム コラム ケアマネジャーの資格更新制が廃止。制度改正の最新情報と現場への影響

ケアマネジャーの資格更新制が廃止。制度改正の最新情報と現場への影響

更新日:
介護
M&A仲介
地域包括ケアシステム構築支援
# 地域包括ケアシステム# 厚生労働省

はじめに

ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格更新制度は、これまで5年ごとの更新研修が必要でしたが、受講料や時間的負担などから、現場では見直しを求める声も多くありました。

こうした背景を踏まえ、2026年6月19日に成立した制度改正により資格更新制度は廃止されることとなりました。一方で、専門性を維持するための継続的な研修制度は残り、事業者にも研修機会の確保など新たな対応が求められます。本コラムでは、ケアマネジャー制度の改正内容と、現場に与える影響について解説します。

(2026年6月時点での情報です)

●このコラムのポイント

  • 2026年6月の制度改正により、ケアマネジャーの資格更新制度は廃止され、更新研修に伴う時間的・経済的負担の軽減が期待される
  • 一方で、専門性を維持するための継続的な研修受講は義務化され、ケアマネジャー本人だけでなく、事業者にも研修機会の確保など新たな対応が求められる
  • 資格取得要件の見直しや主任ケアマネジャーの役割の明確化など、ケアマネジャー制度全体の改革が進められており、人材確保や質の向上につながる制度運用が課題となる

【介護業界関連コラム】こちらも読まれています
令和8年度介護報酬改定の概要|処遇改善加算拡充で最大月額1.9万円賃上げ、算定要件を解説
有料老人ホームに「登録制」導入の検討が進む─囲い込み対策の見直しも

ケアマネジャー資格更新制度の現状

資格更新に必要な条件と手続き

まず、現行のケアマネジャー(介護支援専門員)の制度は、取得後も「更新」が必要な仕組みとなっており、5年ごとに所定の更新研修を受けなければならないというルールがあります。

更新研修は、各都道府県が実施主体で、受講時間・費用・日程などが都道府県ごとに異なりますが、一般に数万円の受講料と数十時間の受講時間が必要であるということから、精神的・時間的・費用面でケアマネジャーにとって大きな負担となってきました。

研修修了後は、都道府県や指定窓口に更新申請を行い、資格の更新手続きを完了させます。更新を行わなければ、「ケアマネジャー」としての業務、例えばケアプラン作成や利用者支援を継続することが難しくなる場合もあります。

資格更新の廃止の背景

受講時間や費用の負担が伴うため、更新制度そのものが離職の一因となることも指摘されてきました。こうした負担を軽減することで、人材不足の解消につなげる狙いがあります。

さらに、ICTの普及により、現場での情報収集や研修コンテンツのオンライン化が進んだことも、更新制度廃止の検討を後押ししています。今後は、個人の責任や職場内研修を活用し、資格保持者の業務能力を維持する方向性が示されています。

ケアマネジャー資格更新廃止の方向性と制度改革

2025年10月27日の社会保障審議会では、資格更新制度の廃止やケアマネ資格取得要件緩和を中心とした方向性が示され、おおむね了承されました。その後、2026年6月19日に介護保険法の改正が可決・成立しケアマネ資格の更新制度が廃止されることになりました。

何がどう変わるのか

①ケアマネジャーの資格更新制の廃止

現在、ケアマネジャーの資格(介護支援専門員証)には有効期間があり、定期的な更新が必要ですが、この有効期間および更新制が廃止されることになります。これに伴い、免許の交付や更新のために義務付けられていた従来の研修も廃止されます。

更新制は廃止される一方で、今後もケアマネジャーとして必要な知識や技術、専門性を維持・向上するための「継続的な研修の受講義務」は引き続き設けられます。

  • 研修受講の義務化
    ケアマネジャーは、都道府県知事が行う資質向上のための研修を受ける必要があります。研修の受講状況を適切に管理するため、新たに「指定研修受講管理機関」が設置されます。この機関は、ケアマネジャー一人ひとりの研修受講状況を正確に把握し、専門性が継続的に担保される仕組みを支えます。あわせて、都道府県知事が正当な理由なく研修を受講しない者に対し、受講命令や業務禁止などの措置を適切に行えるよう、必要な管理業務を担います。もし正当な理由なく研修を受けず、都道府県知事による受講命令にも従わない場合、最大1年間のケアマネジャー業務の禁止が命じられる可能性があります。

  • 事業者の義務
    ケアマネジャーを雇用する事業者にも新たな責務が課されます。事業者は、所属するケアマネジャーが必要な研修を受講できるよう、勤務体制の調整など必要な機会確保のための措置を講じなければなりません。上記の報告や研修機会の確保を怠った場合、都道府県知事から勧告や命令を受けたり、従わない場合はその旨を公表・公示されたりするペナルティがあります。

つまり、資格更新という形式的な仕組みはなくなる一方で、ケアマネジャーとしての専門性を維持するための継続的な学びと、その履行を確認する新たな仕組みへと制度が移行していくことになります。

この改正事項については、「公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日」から施行される予定となっています。

②ケアマネジャー資格取得要件の見直しと緩和

従来、ケアマネジャーの資格を取得するには一定の実務経験が求められ、養成講座を修了した上で国家資格や登録手続きを経る必要がありました。今後はこの取得要件も緩和される方向です。具体的には下記の点が議論されています。

  • 実務経験年数の短縮(従来5年⇒3年程度を想定)
  • 受験対象である国家資格の拡充(例:診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士、公認心理師など)

これにより、多くの人がケアマネジャーとして参入しやすくなります。ただし、取得要件が緩和される一方で、実務力やケース対応力を事業所内で補完する仕組みが不可欠です。OJTやメンター制度の充実、事業所内研修の体系化が重要になります。

③主任ケアマネジャーの位置づけの明確化

これまで主任ケアマネジャーは実務上「助言・指導」「他のケアマネジャーとの連携」「関係機関との調整」といった役割を担ってきましたが、法令上の明確な位置付けはありませんでした。

今回の議論では、主任ケアマネの位置付けを法令レベルで明らかにする方向が示されています。主任ケアマネは、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所で、他のケアマネジャーの活動をサポートしたり、多職種との連携を進めたりする中核的な役割を担うことになります。これにより、現場での責任や権限が明確になり、より専門性を発揮しやすくなると考えられています。

さらに、主任ケアマネが安心して役割を果たせるよう、研修や育成の仕組み、業務負担の調整、報酬の評価などの環境整備も検討されています。現場からは「管理者業務や育成業務、ケアマネ業務が混ざってかなりの負担になっている」といった声があり、役割を整理することが課題とされてきました。

こうして主任ケアマネジャーの位置づけを明確化することは、ケアマネジャー全体の質を保ち、業務の効率化にもつながる重要なポイントになるでしょう。2027年の介護報酬改定に向けて、今後さらに法的な整備が検討されていきます。

出典:社会福祉法等の一部を改正する法律案要綱|厚生労働省
   地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方) 2025年10月27日社会保障審議会厚生労働省

ケアマネジャー制度見直しに伴う変化と課題

ケアマネジャーの資格更新廃止に加え、資格取得条件の緩和や主任ケアマネジャーの役割明確化など、制度全体が見直されることで、現場や事業所の働き方にも変化が生じます。従来の更新研修負担の軽減だけでなく、新たに参入する人材の増加や主任ケアマネの中核的な役割の確立によって、日々の業務やチーム運営のあり方も変わってくることが予想されます。

新しい人材の参入と業務分担の変化

資格取得要件の緩和によってケアマネジャーを目指すハードルは下がるものの、実際には新たな人材がすぐに増えるとは考えにくいのが現状です。ケアマネの仕事は専門性が高く、責任も重いため、資格を取るだけでなく「現場で続けられる環境づくり」が不可欠です。

新規参入者を増やすには、OJTやメンター制度など教育体制の整備だけでなく、経験者が安心して後進を育てられる余裕のある職場環境が求められます。そのためには、業務の適正化やチーム内の業務分担の見直し、ICTを活用した効率化など、現場全体での仕組みづくりが欠かせません。

処遇改善なくして人材不足は解消しない

人材不足の根本的な原因は、「仕事量に見合わない処遇」にあるという声が多く聞かれます。給与や待遇が改善されなければ、制度の柔軟化を進めても離職防止や新規参入者の定着には限界があります。制度改革は重要な一歩ですが、ケアマネジャーが安心して働き続けられる環境づくりには、処遇改善と制度運用の両輪が必要です。今後は、処遇改善加算の拡充や、主任ケアマネの役割に応じた報酬評価など、実効性のある支援策が求められます。

制度の見直しが「人材を増やすための改革」で終わらず、「現場で働く人を支える改革」となることが期待されます。

さいごに

2026年6月19日に可決された制度改正により、ケアマネジャー資格の更新制度は廃止されることとなりました。これまで更新時に必要だった研修や手続きの負担が軽減されることが期待される一方で、専門性の維持・向上を目的とした継続的な研修の受講義務は引き続き残されます。

今回の制度改正では、ケアマネジャー本人だけでなく、雇用する事業者にも職員が研修を受けられる環境を整える責任が課されます。人手不足が深刻化する介護現場では、研修のための勤務調整など新たな業務負担が生じる可能性もあり、事業者への支援や実効性のある運用が求められます。さらに、介護業界の人材不足の解消には、資格制度の見直しだけではなく、賃金・処遇の改善や業務負担の軽減など、働き続けられる環境整備も欠かせません。

こうした経営課題への対応策の一つとして、事業の継続や経営基盤の強化を目的とした、施設・事業所のM&Aや事業承継を検討するケースもあります。

M&Aや事業承継に関するご相談やご質問がございましたら、ぜひ当社までお気軽にお問い合わせください。

【介護業界関連コラム】こちらも読まれています
令和8年度介護報酬改定の概要|処遇改善加算拡充で最大月額1.9万円賃上げ、算定要件を解説
有料老人ホームに「登録制」導入の検討が進む─囲い込み対策の見直しも

\医療・介護業界の最新動向・セミナー・M&A情報をお届け/
メールマガジンお申込みフォーム

コラム監修者

大倉 良介
大倉 良介
株式会社CBヘルスケア 東日本事業部 副部長

大学卒業後、商社で購買物流や事業開発、M&A業務に携わり、宿泊事業のコンサルを経て株式会社CBパートナーズ(現:株式会社CBヘルスケア)に入社。地域密着型デイサービス、訪問介護、居宅介護支援事業所、就労移行支援事業所などの介護分野から、社会福祉法人までをご支援。株式譲渡・事業譲渡・持分譲渡など多様なM&Aを手がける。

公開日:

関連記事

介護
M&A仲介
地域包括ケアシステム構築支援
令和8年度介護報酬改定の概要|処遇改善加算拡充で最大月額1.9万円賃上げ、算定要件を解説
介護
M&A仲介
地域包括ケアシステム構築支援
有料老人ホームに「登録制」導入の検討が進む─囲い込み対策の見直しも
介護
M&A仲介
地域包括ケアシステム構築支援
【2026年4月施行予定】介護情報基盤とは?概要から最新情報まで
Contact

まずはご相談ください

私たちは、あなたの事業と“想い”に寄り添うパートナーです。
経験豊富なコンサルタントが真摯にお話を伺います。

お電話でのご相談
(平日 9:00〜18:00)
無料相談
まずは情報収集から
という方も歓迎します。
資料ダウンロード
サービスやM&Aの実例など
お役立ち資料を公開しています。