
今年は新型コロナによる影響を受けて薬局経営者からのご相談が増加しております。
- 門前クリニックに依存する薬局では厳しい、と今回の新型コロナの影響で強く感じている
- 調剤事業に次ぐ事業、調剤事業と相乗効果のある事業を検討している
といった『将来を見据えた事業相談』が多く寄せられています。そこで今回は『薬局の多角化経営』を解説いたします。
地域によって新規開業数に偏り
将来の事業を思い描くものの、その必要性は明確ではなく、ただ漠然と将来への不安を感じているということも多いように感じます。
- コロナ禍を抜けきったら元に戻るのではないか?
- だとしたら多角化経営の必要性はないのではないか?
といった期待を持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。まず考えたいのは、コロナ禍といった外部要因を抜きにして、本当に多角化経営は必要かどうかという点です。考える上で一つ、ある統計を以下に記載します。
診療所の開業数および廃業数2017年の新規開業数:3,6962017年の廃業数 :3,644少し古い情報にはなりますが、2017年の1年間では新規開業数と廃業数はほぼ同数でした。2013年は増加数が496件だったのに対し、2017年には52件まで減少しています。
それだけ薬局の新規開業が厳しくなってきていることが想像できます。そして地域別では以下の通りです。
地域別 診療所増減数平均(2013年~2017年)①北海道 新規開業数 131件 / 廃業数 134件②東 北 新規開業数 190件 / 廃業数 220件③関 東 新規開業数1,527件 / 廃業数1,329件④甲信越 新規開業数 97件 / 廃業数 109件⑤北 陸 新規開業数 59件 / 廃業数 68件⑥中 部 新規開業数 349件 / 廃業数 322件⑦関 西 新規開業数 746件 / 廃業数 729件⑧中 国 新規開業数 176件 / 廃業数 205件⑨四 国 新規開業数 85件 / 廃業数 101件⑩九 州 新規開業数 344件 / 廃業数 354件⑪沖 縄 新規開業数 43件 / 廃業数 40件
新規開業数が廃業数を上回っているのは、関東・中部・関西・沖縄。確実に増加し続けていると言えるのは関東くらいです。都道府県別に見てみると、東京都が最も多く 658 増、神奈川県 300 増、愛知県 173 増、埼玉県 170 増が次に多く、大阪府 104 増、 福岡県 100 増が比較的多いことで、都市部に集中していることが判ります。(2017年実績)
つまり、今までのように店舗展開を行って成長をと考えられるのは都市部が優勢ということが見て取れます。逆に言えば、地方になればなるほど店舗展開での成長はハードルが高いことが考えられます。薬局経営に変化は必要
長々書きましたが、都心部も都心部で経営をしていない限りは、多角化経営を選択の一つに入れていかないと尻つぼみの可能性が高いと言えるのではないでしょうか。あくまで診療所の増減数は、一つの参考情報でしかありませんが、これだけ見ても薬局経営に変化が必要になってきていることが言えます。
- 少なくとも新規出店の可能性は下がっている
- 門前クリニックの撤退リスクは高まっている
『 それに対する一つの答えが多角化経営 』多角化経営だけが答えではありませんが、少なからず変化は必要になっていると考えます。今回のコロナ禍は、その状況を加速化させただけに過ぎません。
現状を数字で確認したり、各省庁が出している方向性の確認を
漠然と「経営戦略に変化が必要なのかな?」と感じている経営者の方は、ぜひ一度、
ご自身の診療圏はどうなっているのか、まずは数字で見てみることをお勧めします。ご自身の考えが合っているか否かが明確になるので、色々と判断しやすくなるはずです。ちなみに参考までですが、
厚労省や財務省など各省庁が出している方向性を確認することをお勧めします。厚労省は社会保障のビジョンを(最近ニュースでもよく出ていた言葉「自助・互助・共助・公助」がどうなっていくか)、財務省は多角化経営の必要性や方向性のヒントをネット上に掲載しています。それを見るだけでも、将来を想像しやすくなるはずです。