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【省庁発表を読み解く】令和3年度から高齢者住宅環境を再整備へ

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介護
# 高齢者住宅

今回は2月19日に国土交通省が発信した「サービス付き高齢者向け住宅整備事業」について、ポイントを読み解きながら解説いたします。

高齢者向け住宅がとにかく必要!

図1)年齢別単身世帯数と高齢者世帯数の推移
高齢者のみの世帯は増加の一途です。図1にも記されている通り、2030年には約1,500万世帯となります。2040年頃には、高齢者のみの世帯が総世帯数の3割を超えます。3軒に1軒が高齢者のみという状況。イメージしてみてください。両隣の家には高齢者しかいないという状態です。

高齢者に求められる住まい

介護が必要になっても年金の範囲内で

図2)今後求められる住まい方
図3)高齢者の活躍の場の必要性
年金内で暮らせる環境整備への要望がダントツです。高齢者の年間所得は平均で約200万円 / 人。(年金含む)貯蓄額は約1,200万円 / 世帯となります。人生100年時代と言われる現代。この資金では当然不安です。

他者との繋がりある環境を

お金だけではなく、心の問題も表面化しています。図3は首都圏高齢者の居場所について調査した結果です。なんと第一位が図書館。第二位は見つからない、です。他者との繋がりある環境を作っていかなければ、心身ともに弱っていきます。国土交通省が発表したここまでの内容で、いかに高齢者向け住宅が必要とされているか、その理由も含め見えたかと思います。では次に、必要とされている高齢者向け住宅を国土交通省がどのように展開していこうと考えているか見ていきましょう。

高齢者向け住宅の供給状況

図4)都道府県別の高齢者向け住宅の供給状況
まず、圧倒的に高齢者向け住宅が足りていないことが見てとれます。図4では「地域にバラツキ。3%を超える地域もある一方で・・・」と、まるで3%が多いように表記されていますが、同省が同じく進めている住生活基本計画の中では、高齢者向け住宅は4%必要だと明記されている中、各都道府県いずれも4%に届いていません。既に8%程度が整備されている欧米と比較すると、日本は高齢者向け住宅がいかに足りていないかがよく分かるかと思います。なぜ日本は思うように進捗していないか。その大きな理由の一つとして収益性が低い点が挙げられます。入居率を見ていくと、80%を超えるのは平均で開設から2年後。軌道に乗せるまで時間がかかっている状況であることから、円滑にキャッシュフローを回すために客単価を無理に上げる動きに繋がってきています。
図5)サービス付き高齢者向け住宅の住戸面積等の分布
図5のグラフをご覧ください。介護度が高い方が多く入居しており、全体の約30%の入居者が要介護3以上です。居室面積が25㎡未満のサ高住が8割を占め、図5には記載ありませんがそこに絞って見ると、40%前後の入居者が要介護3以上になっています。『サ高住でもある程度の要介護認定者まで入居させられるのでは』『待機者を多く出している特別養護老人ホームの代わりになるかも』というようなニュアンスの資料も省庁から出ていましたが、介護事業者からすれば、苦肉の策として介護度が高い方々を入居させているケースも少なくありません。収益性が悪いから介護報酬で客単価をどうにか上げようと、体制整っていないのに介護度高い方々を入居させざるを得ないという状況が生まれています。これではサ高住を経営しようとする人も増えづらいですし、既に運営されてる法人がスピード展開をかけることも難しいですよね。そもそもサ高住など高齢者向け住宅に入居が必要な方は、介護度が高い方々だけではありません。介護度が低いうちから生活環境を整えていく必要があります。そういった方々が入居できないというのも大きな問題です。

サ高住の整備の促進と補助対象事業の重点化

図6)既存ストックを改修型のサービス付き高齢者向け住宅整備の実態について
そういった問題を解決するため、引き続きサ高住の整備を促進しようと動いています。それが今回の国土交通省から出された発表に記されています。大きなポイントは、来年度以降、既存ストックの改修によるサ高住の供給補助を強化していくということ。図6の右下に記された通り、既存ストック(共同住宅など)の改修によるサ高住の立上げは、全体の内、約6%。初期投資総額を抑え入居費用設定を下げさせるため、この改修による立上げを促進したいという方向です。(国土交通省としては、空家問題の対応にも繋げたいという想いも見え隠れします。)具体的には、補助金額の設定変更を実施。▼補助対象の変更
  • 補助対象になるサ高住の家賃限度額を実質半分まで引き下げ
  • 全国一律30万円だった限度額を、市区町村別で設定見直し
  • 結果として、平均15万円程度に
▼補助限度額の変更
  • 改修の補助限度額を引き上げ
  • 新築の補助限度額を引き下げ
  • IOT導入に対する補助の追加
図7)見直しの概要(その3)家賃設定の確認および補助対象となる家賃上限額の見直し
図8)見直しの概要(その4)補助対象事業の重点化
非常にわかりやすいメッセージです。当たり前ですが、入居者(消費者)の要望に沿った運営ができない法人は支援しないということ。言い換えれば、要望に沿えない高齢者向け住宅の廃業もやむを得ないという認識です。事実、それに近しいことも記載されています。
図9)見直しの概要(その2)入居率および廃業状況の確認
人気がない、利用者ニーズに応えられていない法人は支援しないよ!ということですね。*長々書きましたが、高齢者向けの住宅事業も変革が進みそうです。高齢化が進み、単身高齢者世帯が増えるので、間違いなく市場は大きくなりますしビジネスチャンスもより広がるでしょう。ただし、利用者ニーズに応えない限りは継続は難しい時代に突入します。最もな話しであり大事なのはどの利用者ニーズに応えるか、ということになります。客単価が高い富裕層ニーズは当然需要があります。ただしパイは限られます。その限られたパイは大手介護事業者が資本力を武器に必ず押さえます。地域密着の介護事業者は、収入を上げるためにも、コストを削減し利益を上げるためにも、息の長いビジネスとして永続性を築くためにも、地域住民の大半を占める一般所得層の高齢者世帯ニーズに応えていく必要があります。そして数(入居者数)を確保することが必須であり先決です。このコラムをお読みの方は薬局経営者が多いと思うので、敢えてその視点で最後を締めさせていただきます。今お付き合いされている介護事業者は、地域ニーズに応えられていますか?将来計画のない、無理な経営をされている法人ではないですか?お付き合いある介護事業者の大半が、10年後には撤退している可能性も十分あります。もし撤退される可能性が高い介護事業者の在宅サービスを請け負っていて、今は少しでも利益上がるからと我慢して付き合っているというケースあれば、今一度お付き合いを見直してみてください。そのお付き合いは、本当に貴社の価値を上げるのでしょうか?地域にとってプラスになっているのでしょうか?薄利に対して貴重な資源を投入することは愚の骨頂です。そんな薄利はすぐにでも放棄し、将来的にもっと大きな利益を生み出す先に資源を配分した方が間違いなく有効です。10年後、どのような方々とお付き合いをしていて、その中で自社の立ち位置はどこなのか。変化の多い時代だからこそ、見直すタイミングも増えてきました。そんなことを感じる今日この頃です。

この記事を書いたコンサルタント

歯科医院向け経営支援事業を行う会社へ新卒入社。 営業部長、取締役を歴任し、事業拡大や新規事業の立ち上げに従事。 その後、株式会社キャリアブレイン(現・CBホールディングス)へ入社し、 関東・東北と、各地の責任者として病院や薬局を中心に採用・経営の支援を多数行う。 また顧客のブランディング支援を行う専門部署の立ち上げも経験。 現在は業界経験や事業立ち上げ経験を生かし、クライアントの事業開発支援に従事。
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