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【医療法人向け】医療M&A・医業承継で失敗しないためのスキーム選択と事前準備のポイント

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はじめに

昨今、後継者不在や経営環境の変化に伴い、医療法人からの承継・M&Aの相談が増加しています。

医療法人は非営利法人であるため、一般企業のM&Aとは異なるルールや規制が存在します。そのため、承継やM&Aを成功させるには、スキーム選択や準備のタイミングが非常に重要です。

本コラムでは、医療法人の承継やM&Aを検討する際に押さえておきたいポイント、選ばれるスキームの種類、そして早期に準備すべき理由など、将来的な事業承継やM&Aの必要性を感じた際に「まず何から考えればよいのか」お伝えいたします。

●このコラムのポイント

  • 医療法人の承継・M&Aは、非営利法人特有のルールや制約があるため、一般企業とは全く異なる「スキーム選択」が極めて重要
  • 医療法人の状況(持分の有無、定款、社員構成、契約関係など)によって選べる承継手法が大きく変わるため、事前の情報整理と早期準備が成功の鍵となる。
  • 後継者不在や経営環境の変化などにより相談が増える中、希望条件で承継を実現するには、専門家と連携しながら早めに準備をしておくことが大切。

医療機関で事業承継・M&Aの相談が増えている背景

昨今、病院やクリニック様から経営的なご相談や事業承継・M&Aのご相談を多くいただいております。

その背景には、

●後継者不在の深刻化
開業医の高齢化が進む一方、次世代に経営を継ぐ医師の確保が難しくなっています。

●経営環境の変化
物価高や人件費の上昇、医療機器費用の増加などにより、経営の負担が増えています。

●診療報酬改定への対応負担
医療DX化の流れや薬価改定など、最新の制度に対応する負担が経営に影響しています。

医療法人は非営利法人としての規制もあるため、一般企業のM&Aとは大きく異なる判断や準備が必要です。スキーム選定や事前準備の不備により計画が進まないことがあります。

医療法人M&Aで選ばれる主なスキーム

医療法人における「スキーム」とは

事業や法人の承継をどの方法で行うか、手続きや対価の受け渡しを含めた仕組みのことを指します。営利企業のM&Aと異なり、医療法人は非営利法人であるため、スキームの選択によって手続きや税務、契約関係が大きく変わります。承継を進める上で、まず自院に適したスキームを理解しておくことが重要です。

医療事業の承継方法は大きく2種類

医療法人の承継は、主に以下の2つの方法で行われるのが一般的です。

1.事業譲渡(開設者変更を伴う方法)

事業譲渡では、開設者そのものが変更となるため、次の手続きが必要になります。
開設許可・保険医療機関指定等の各種届出
・賃貸借・リース契約の名義変更
・職員の雇用契約の締結し直し
・取引契約の再締結

また、譲渡対価は法人が受け取り、譲渡益には法人税が課税されます。そのため、役員の退職慰労金支給と組み合わせて手続きを進めるケースも多く見られます

2.社員・理事の変更 (医療法人そのものの承継)

一方、社員・理事を変更する方法では、医療法人という“箱”自体がそのまま引き継がれます。
・開設許可の取り直しは不要
・既存契約は基本的に維持される
・手続きが比較的簡便で、実務負担が少ない

対価は法人ではなく個人への支払い(出資持分買取・基金返還・退職慰労金など)となるのが特徴です。

ただし、以下の条件によって使えるスキームに制限が生じるため、専門家への早期相談が推奨されます。

  • 持分あり/なしの法人か
  • 定款内容の条件
  • 過去の出資者・社員の状況

スキーム検討の前に必ず行うべき“自院の状況整理”

円滑な医業承継のためには、まず自法人の基礎情報を正確に把握することが不可欠です。

特に整理しておくべき項目は以下です。

  • 医療法人の類型(持分あり/なし/基金制度など)
  • 出資者・社員・理事の変遷と現状
  • 定款・規程(残余財産規定、退職金規程など)
  • 契約関係(賃貸、リース、借入等)
  • 資産・負債の状況
  • 過去の損益推移
  • 相続の発生状況・出資者の所在

特に設立から20年以上経過している場合、当時の出資者や社員構成が曖昧になっているケースや、相続の影響がある場合もあるため注意が必要です。

医業承継では「早い準備」が結果に影響する理由

「承継は早めに準備ください」と常々お伝えをしておりますが、「今は、忙しくてできない」「譲渡直前の準備ではだめなのか」とご質問をいただくこともあります。

ですが、医療法人の事業承継やM&Aは、直前の準備では対応しきれない要素が多く存在します。

●医療法人特有のルールにより、選べるスキームが限られる
後から気付いても、定款や持分の状況が原因で希望のスキームが使えないこともあります。

●候補となる医師・医療法人とのタイミング調整が重要
医業承継では、買い手側の開業・承継のタイミングが合うかが大きなポイントとなります。

●事前整理に時間がかかる
定款の見直し、出資者確認、契約整理だけでも数ヶ月必要です。

そのため、「できるだけ早い段階での準備」が、望ましい承継につながるという点は多くの事例に共通しています

さいごに

医療法人は、非営利法人ならではの制度や規制により、一般企業とは異なる進め方が求められます。円滑な医業承継のためには、

自院の状況を正確に整理する
適切なスキームを早期に検討する
税務・法務・行政手続きを見据える
早いタイミングから専門家と連携する

これらが重要なポイントとなります。

当社では、準備段階からスキーム設計、候補者探索、承継完了まで一貫サポートを提供しております。医業承継や医療M&Aについてご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。


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コラム監修者

齊藤 章平
齊藤 章平
株式会社CBヘルスケア 東日本事業部 本部長

関東地方で採用を中心としたコンサルティング業務に従事。その後、医療・介護・薬局等の事業領域に特化したM&AアドバイザーとしてM&A支援業務を行う。北海道から沖縄まで広域を担当し計100件以上の成約に携わる。CBパートナーズ(現CBヘルスケア)の代表取締役を経て、現在は東日本事業部本部長として、顧客・地域・業界との対話を行い、M&A支援や事業開発などを中心に支援を行っている。

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