
中小規模薬局の経営者に向けて『報酬改定は大手に厳しいのか。それは本当か?』という内容で、お話させていただきます。
調剤報酬は一見大手に厳しい
今年はトリプル改定が実施されました。高騰する人件費に対応するために、全体的にはプラス改定となっていますが、厳しくなっている点は当然あります。毎回の改定時に、”大手たたき”と言われるような、例えば調剤報酬では、全国のチェーンや大規模店舗を対象とした減算があります。処方箋受付枚数が一定数を超えると低い調剤基本料の算定になるなど。今回の改定では、月受付回数が4,000回を超える薬局は、上位3位の医療機関が7割を超えると、調剤基本料2となると変わりました。
大規模化という方針に矛盾する?
国は大規模化しろと言っているのに、点数では大手や大規模店舗に厳しい点数となって、一体国は何がしたいのか!?こんな声をよく聞きます。ただ、私の意見は、
『大規模化の方針とは、全く矛盾していない』です。
もし大手に優しい改定なら何が起こる?
どういうことか。これを理解するためには、逆のシミュレーションをしてみることです。
『大手や大規模店舗に対して、いわゆる優しい改定になったらどうなる?』と考えてみます。人材確保・仕入れ・運営体制など、様々な面で中小規模薬局に対して優れている大手チェーンの調剤基本料が、小規模薬局と同じだった場合、もしくは小規模薬局よりも高い場合、どうなるでしょう?当然大手チェーンの利益は大きく拡大します。そもそも大手チェーンは株式上場している場合が多く、市場からは成長が求められます。そんな大手チェーンが、何もしなくても改定だけで売り上げが拡大できる、利益が拡大できる。とすると、大手チェーンは何をしてもよくなります。そう、大手チェーンが拡大を止めてしまう可能性が出てきます。
大手に厳しくすることで大規模化が進む
では、現実に起こっている大手チェーンや大規模店舗の売り上げが改定ごとに下がる場合はどうでしょう?1処方箋あたりの単価が下がるということは、何もしなければ、単純に売り上げは下がります。市場から成長圧力をかけられる大手チェーンとしては、M&Aで規模を拡大するか、経営効率のさらなる向上を進めるしかありません。つまり大規模化が進む、もしくは低い単価でもサービス提供できる体制が作られていく、ということです。これがまさに国が進めたいことです。ということで”大手たたき”のような改定は、大規模化という国の方針にまったく矛盾していません。
中小規模薬局は危機感をもって、地域で選ばれる薬局になろう
では、さらに進んで、この大規模化の流れが進んだ先には何があるでしょうか?大手のシェアが拡大すればするほど、より低いコストで質の高いサービスを提供できるようになります。大手チェーンは安くて、地場薬局は高い、という状況になります。その場合地場薬局は、大手チェーンにはできないキラリと光る強みがなければ、太刀打ちできません。強みを作ろうと努力をしない調剤薬局はなくなっても仕方ないし、利用者にとっては、むしろ良いことです。でも努力をする調剤薬局は、正しい努力で、生き残るもしくは拡大する道を進むべきです。我々は、努力する調剤薬局をご支援しています。改定の意味を理解し、正しい努力をすることが、10年後に地域で選ばれ続ける薬局となることに繋がっています。